2022年8月2日に「デジタル教科書のメリットとデメリットの視点」を書いています。GIGAスクール構想の一環として文部科学省によりなされるデジタル教科書の本格導入に関連して、デジタル教科書・デジタル教材(教科書での学習をサポートするもの)のメリットとデメリット(留意点)について、誰(主体)にとってのメリットとデメリットかということが極めて重要なものです。そこで、まず、児童・生徒の視点からのメリットとデメリットについて、私なりに考えてみたいと思います。また、教員の視点からのメリットとデメリットについては別の記事で書くことにします。
児童・生徒の視点からの主なメリットとデメリット(留意点)
1.メリット
(1)児童・生徒が主体的・対話的に学ぶことができる
小学校・中学校の学習指導要領では、学ぶことに興味や関心を持つなどの「主体的な学び」と、子ども同士の協同や教職員との対話を通じて自己の考えを深める「対話的な学び」が重要とされています。これを実現させるために子どもたちが関心を持ちやすいタブレットなどを利用したデジタル教科書は有用です。
(2)児童・生徒の理解がより深まる
デジタル教科書とともに、タブレット端末などを活用する教材である「デジタル教材・ICT教材」を用いることにより、児童・生徒の興味や関心を高めることができ、また、学習意欲を高めることも期待されます。また、その結果として、児童・生徒の理解度が向上することが期待されます。
(3)一人ひとりの状況に合わせた学習ができる
デジタル教科書やデジタル教材では、児童・生徒に、個人の状況に合わせた学習をしてもらうことができます。デジタル教科書やデジタル教材では、音声の読み上げや文字の拡大機能があるため、例えば学習障害や視覚障害を抱えた児童・生徒にも内容を伝えやすくなります。
2.デメリット(留意点)
(1)児童・生徒が学習目的以外に使用しないように管理・制限する必要がある
適切な管理・制限をしないで運用すると、児童・生後が学習目的以外にタブレット端末などを使用し、結果的に学習効率を低下させてしまうことにつながりかねません。
(2)眼の疲れなど児童・生徒の健康面に注意する必要がある
デジタル教科書やデジタル教材では、タブレット端末などのスクリーンを長時間見続けるために、スクリーンから発生するブルーライトによりドライアイや眼精疲労になりやすく、児童・生徒の視力低下を招くおそれがあります。
デジタル教科書の利用について、児童・生徒側のメリットとデメリット(留意点)として主な点として上のように整理をすることができると思います。多くのメリットがあるのですが、デメリットもあるわけです。教育現場や家庭として、発生する可能性があるデメリットをできる限り少なくするように留意していくことが大切になると思います。(筆者金井たかしのプロフィール)
自治体スクールコンプライアンス研究所 (東京都江戸川区)
代表 弁護士 金井高志(金井たかし)
(江戸川区在住 弁護士 武蔵野大学[江東区]法学部・大学院教授)
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