2022年11月28日の読売新聞の「『話す英語』トラブルなく 都立高入試 初実施に6万9000人」という見出しの記事で、「来春の東京都立高校の入試で合否判定に反映される英語のスピーキングテストが27日、都内の197会場で初めて実施された。都内の公立中3年生ら約6万9000人が受験した。」と報道されました。
この問題については、教育の視点からの課題があり、また、これに関して政治的には東京都議会でこのスピーキングテストを都立高校の合否判定から除外するよう求める条例案が提出されていました。そこで、今回この都立高校の英語のスピーキングテストについて考えてみます。
このテストの狙いは使える英語力の育成です。グローバル化が進み英語での議論や交渉を求められる場面が増える中、読み書き中心の入試が続いた日本での英語力の話す力が伸び悩む状況にあります。文部科学省幹部のコメントとして「現場では受験対策が重視され、話す力の育成を後回しにしてしまう状況が続いた」と報道されています(日本経済新聞2022年11月28日)。
そこで、入試で話す力を問うことにすることで、より実用的な英語力を身に付ける動機付けになることから、また、デジタル端末を使用して多くの生徒が一斉に受験できる状況になったことから、東京都教育委員会は今回のテストの導入に踏み切ったものです。
7万6000人の生徒にとっての実施環境について、公正・公平性を確保された受験となったかどうかという課題がありますが、東京都教育員会によれば、大きなトラブルはなく実施がなされたということです。
ただ、次の課題として考えられるのは、公平な採点ができるかどうかということです。試験会場でタブレット端末に記録された解答につき、フィリピンに送付されて、事前に研修を受けた現地スタッフが採点することとされています。これに対して、大学教授などが「多くの録音を短時間で公平に採点できるか疑問」と指摘しています。
都立高校の入試にスピーキングテストを導入することは、その目的はよいことと思います。実施には大きなトラブルがなかったわけで、今後の採点につき、公正・公平性が確保できるよう東京都教育委員会には最善の対応をしてもらいたいものです。このスピーキングテストについては、東京都議会でこのテストを合否判定から除外するよう求める条例案が提出される事件もありましたので、別のブログ記事で検討したいと思います。(筆者金井たかし(高志)のプロフィール)
弁護士 金井たかし(金井高志)
(江戸川区在住 弁護士 武蔵野大学[江東区]法学部・大学院教授)
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