2022年7月21日の読売新聞で「デジタル教科書 『紙』と同等以上?」「文科省学力調査 『読む』分野は『紙』優位」という見出しの記事がありました。また、文部科学省公式サイトのなかの「令和3年度 学習者用デジタル教科書普及促進事業」にデジタル教科書についての実証事業の成果報告書が掲載されています。現在、デジタル教科書の利用についてさまざまな検証がなされている状況ですので、その前提として「デジタル教科書」とは何かということを見てみます。
まず、文部科学省公式サイトのページ「学習者用デジタル教科書について」を見てみると、
「『学習者用デジタル教科書』とは、紙の教科書の内容の全部(電磁的記録に記録することに伴って変更が必要となる内容を除く。)をそのまま記録した電磁的記録である教材を指します。」とされていますので、紙の教科書の内容と同じことになります。
「学習者用デジタル教科書の効果的な活用の在り方等に関するガイドライン(令和3年3月改訂)」の中では、
「動画・音声やアニメーション等のコンテンツは,学習者用デジタル教科書に該当せず,これまでの学習者用デジタル教材と同様に,学校教育法第 34 条第4項に規定する教材(補助教材)であるが,学習者用デジタル教科書とその他の学習者用デジタル教材を組み合わせて活用し,児童生徒の学習の充実を図ることも想定される。」とされています(4頁)。
このような説明を見てみると、法律上は「学習者用デジタル教科書」は「紙の教科書の内容の全部をそのまま記録した電磁的記録である教材」のことを意味していて、学習用デジタル教材は、厳密にはデジタル教科書にはならないということになります。ただ、デジタル教科書について書かれているいくつもの記事等を見ていると、法律上の厳密な意味がある「学習者用デジタル教科書」とは異なり、「デジタル教科書」の中に、広い意味で、学習用デジタル教材も含めて理解されているように思われるものもあります。なお、江戸川区公式サイトで「デジタル教科書」を検索してみました。13件ありましたが、まだデジタル教科書についての細かい情報は提供されていないようです。(筆者金井たかしのプロフィール)
自治体スクールコンプライアンス研究所 (東京都江戸川区)
代表 弁護士 金井高志(金井たかし)
(江戸川区在住 弁護士 武蔵野大学[江東区]法学部・大学院教授)
FACEBOOK (「いいね」をよろしくお願いいたします)
Twitter (フォローをよろしくお願いいたします。江戸川区に関する情報を発信しています。)