文部科学省から、教員と児童生徒との間の私的なSNS等でのやり取りの禁止の通知がなされていますが、現在、ほかに、教員と児童生徒の保護者との私的なやり取りにメール、SNS等を利用してよいか、という問題も発生しています。
教育の現場では、児童生徒の保護者との連絡手段として、電話対応が重視されているようですが、保護者とのメール、SNS等での個別連絡をすることも行われています。この点について、保護者とのメール、SNS等での私的な個別連絡のやりとりを禁止している教育委員会もあります。
(浜松市教育委員会。朝日新聞デジタルの記事 2019年11月19日https://www.asahi.com/articles/ASMCL432KMCLUTPB004.html )
保護者とのメール、SNS等でのクラス単位などでの一斉の公的な連絡であれば、問題はないものです。しかしながら、個別の保護者とのメール、SNS等による私的な連絡ということになると、教育委員会や学校として、禁止すべきか否かについて意見が分かれるところです。
特定の保護者とのやりとりが、他の保護者からのあらぬ誤解や噂を招いたり、また、「ひいきしている」と言われるなど不公平感につながったりすることもあり、そして、他の保護者からのクレームにつながることもあります。他に、教員がその立場を見失い、保護者と不適切な関係に陥る事態が発生することもありえます。
(高橋暁子「もうSNSやりたくない…学校教師、生徒・保護者との“SNSやりとり問題”複雑化&深刻化」https://biz-journal.jp/2021/04/post_218339.html
山口準「 SNSで保護者とのやりとりに疲弊する教員たち『いっそ禁止してほしい』」
https://nikkan-spa.jp/1740318 )
教育委員会や学校としては、具体的に複数の問題が発生している事情があれば、教員と特定の保護者との間の連絡について、メールやSNS等による連絡方法の規制(使い方についての条件付けなど)また、教員と保護者がSNS等でつながること(SNS等での「友達」「友人」になること)の禁止を考えることが必要になります。
難しい問題ですが、各教育委員会や学校には、問題が発生しているのであれば、学校現場に即して、検討をしていただきたいと思います。
「金井たかし 江戸川区の政策研究(金井たかし公式HP)」 (東京都江戸川区)
弁護士 金井高志(金井たかし)
(江戸川区在住 弁護士 武蔵野大学[江東区]法学部・大学院教授)
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