2022年11月16日に「『他校の生徒と交流禁止』東京・江戸川区の中学校の“謎ルール”。きっかけは20 年以上前の『暴力沙汰』」というタイトルの記事(佐藤雄[Takeru Sato]執筆)がハフポスト日本版で掲載されています。この記事は江戸川区の中学校の校則の問題としてSNSで拡散されていますが、「他校の生徒と交流禁止」のような趣旨が不明確な校則の問題、いわゆるブラック校則の問題は、江戸川区に限らず日本全国でこの数年で様々な議論がなされているものです。
私は「自治体スクールコンプライアンス研究所」のサイトで、以前「学則・校則の法的問題」として、法律家の視点からいくつかブログ記事を書いていますので、この問題についての記事を下に掲載しておきます(なお、このボネクタのブログでもブログ記事を書いています)。
「なぜ、学校は校則を定めることができるのか」(2021年7月2日) では、学校が校則を制定することができる法的根拠が法律上必ずしも明らかではなく、研究者のなかでさまざまな議論がなされていますので整理をしています。
「校則には合理性が必要である」(2021年7月3日) では、学校に校則を制定する権限があるとしても、その校則に合理性があるかどうかが問題となることを解説しています。校則の有効性(拘束力の有無)が争われた事件における裁判所の判決では、学校が校則を制定するにあたり、その校則について、「教育目的」との間との合目的性(目的関連性)があるか否か、そして、その内容が「社会通念に照らして合理的」か否かが問われることになっています。この記事ではこのことを説明しています。
「学則・校則の意味を考える」(2021年7月2日) では、現在、守る理由がわからないような不合理な校則、また、児童・生徒の人格を傷つける合理性の乏しい校則である「ブラック校則」が問題とされているなかで、そもそも、法的に校則や学則の意味がどのようなものであるかを説明しています。
私は法律家としてブラック校則の問題については前から関心を持って勉強をしてきています。文部科学省ではブラック校則を改定することの対応策を示し始めていますし、また、江戸川区においても中学校のブラック校則への対応の議論が始まってきているようですが、これからブラック校則の問題がより議論され適切な校則への改定がなされるとよいと思います。(筆者金井たかし(高志)のプロフィール)
弁護士 金井たかし(金井高志)
(江戸川区在住 弁護士 武蔵野大学[江東区]法学部・大学院教授)
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